はじめに
中央アジアの経済大国であるウズベキスタンは、近年著しい経済成長を遂げており、M&A市場もその例外ではありません。この記事では、ウズベキスタンのM&A市場に関連する統計データとその要点をわかりやすく解説します。現地への進出を検討している日本企業の経営者、投資家、法務担当者の皆様にとって、有益な情報となるでしょう。
M&A市場の規模と成長性
ウズベキスタンのM&A市場は、着実な成長を見せています。
- 2025年のM&A取引額予想: 約8367万米ドル に達すると予測されています。
- 平均取引規模: 2025年時点での平均取引額は 約7549万米ドル と見込まれています。
これらの数値は、比較的大規模な取引が行われていることを示唆しており、市場としての一定の成熟度が窺えます。
M&A取引に対する競争法規制
ウズベキスタンでは、M&A取引のうち一定の規模や条件を満たすものについては、競争制限委員会(Antimonopoly Committee)による事前の承認が必要です。
事前承認が必要となる主なケース
- 支配権の取得: 個人または法人のグループが、事業体の議決権の50%超を処分する権利を取得する場合。
- 規模基準: 取引参加者の総資産帳簿価額または純売上高が、前暦年に10万計算基底(base of calculation) を超える場合。
- 支配的地位: 取引参加者のいずれかが、商品または金融市場で支配的な地位を占めている場合。
申請と承認プロセス
承認申請は、州ごとの公共サービスセンターまたはオンラインで行うことができます。申請書類には、申請書、財務・統計報告書、取引の詳細を説明する書類などが含まれます。申請は通常10営業日以内に審査されますが、より詳細な審査が必要な場合は最大1ヶ月かかる場合もあります。
ウズベキスタンの宏观经济状況(M&A環境の背景)
M&A市場を理解する上で、その背景となる経済環境は重要です。
- 経済成長: 2022年の実質GDP成長率は5.7% であり、サービス業界が成長を牽引しました。
- 外国直接投資(FDI): 2022年のFDI流入額は25億米ドルでした(2021年は23億米ドル)。
- 貿易: 2022年の貿易総額は前年比18%増の500億米ドルでしたが、輸入(307億米ドル)が輸出(193億米ドル)を上回る状態が続いています。
- 為替と物価: ソウム(UZS)は対米ドルで2022年に3.5%減価し、インフレ率は12.3% でした。
まとめと今後の展望
ウズベキスタンのM&A市場は、確かな成長の軌道に乗っています。宏观经济の安定成長、外国投資の着実な流入、そして明確な競争法の枠組みは、外国投資家にとってプラスの材料です。特に、大規模な取引が市場の特徴の一つとなっています。
一方で、M&A取引を実行する際には、競争法に基づく事前承認要件を慎重に確認する必要があります。取引の規模や対象企業の市場地位によっては、競争制限委員会の承認が必要となるため、計画の初期段階からこれら規制を考慮に入れることが不可欠です。
全体的に見て、ウズベキスタンのM&A市場は、中央アジア地域で確かな機会を提供する市場として注目に値するでしょう。
※免責事項※
本記事は情報提供を目的としており、投資助言または法的助言を意図するものではありません。実際の投資やM&A取引に関する決定の前には、必ずご自身で最新の情報を収集し、専門家の助言を受けるようお願いいたします。



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