ウズベキスタンで外国資本の企業を設立・運営する際には、いくつかの重要な注意点があります。主要な項目を以下の表にまとめましたので、まずはこちらをご覧ください。
| 注意点 | 詳細内容・要件 | 主な根拠/理由 |
|---|---|---|
| 外資比率の認定 | 外国投資が15%以上であることが「外国企業」とみなされる条件之一。 | 外国投資法(共和国法第598号)第6条。 |
| 資本金の要件 | 外国企業とみなされるための最低資本金は4億スム(約3.4万ドル)。カラカルパクスタン共和国とホレズム州は2億スム。 | 外国投資法(共和国法第598号)など。 |
| 土地所有の制限 | 外国企業は土地を所有できません。借地権は最長25年(経済特区では最長49年に延長可能)。 | 共和国土地法典(共和国法第598-I号)など。 |
| 規制・許可業種 | 賭博業(ライセンス制)、麻薬関連、火工品など、許認可やライセンスが必要な業種があります。 | 各種大統領令や閣僚会議決定。 |
| 税制優遇の申請 | 投資規模や経済への貢献度に応じた優遇措置がありますが、優遇は自動的ではなく、事前申請が必要。 | 投資法に基づく。 |
| 経済特区の利用 | 経済特区(SEZ)では、租税や関税の優遇が受けられる可能性があります。 | 各経済特区の規定による。 |
| ビザと滞在登録 | 日本国籍者は30日間までの滞在はビザ不要。ただし、入国後3営業日以内の滞在登録が必須(ホテル以外では注意)。 | 入国管理規定。 |
| 現地労働法規 | 給与は現地通貨で月2回以上支給する義務など、日本とは異なる労働法規があります。 | ウズベキスタン労働法。 |
以下で、各項目についてもう少し詳しく説明します。
🧾 許認可の必要性
事業を始める前に、あなたの参入する業種がライセンスや許認可を必要とするかどうかを確認することが最初のステップです。
- 賭博事業は2025年1月以降、政府当局からの個別ライセンス取得により合法化されていますが、規制が厳しいです。
- その他、麻薬性鎮痛薬の製造や特定の火工品の開発・製造など、一部の業種は禁止または国有企業に限定されている場合があります。
💰 資本金と出資比率
- 「外国企業」とみなされる条件は、外国投資の比率が15%以上であることです。
- 外国企業として認定されるためには、最低資本金として4億スム(カラカルパクスタン共和国とホレズム州は2億スム)を満たす必要があります。これは、例えば株式会社や有限責任会社といった一般的な法人形態を選択する場合でも、外国企業とみなされるためにはこの基準をクリアしなければならないことを意味します。
⚖️ 土地所有の制限
外国企業はウズベキスタンで土地を所有することはできません。事業用地が必要な場合は、借地権を取得することになります。
- 通常、借地権は最長25年間です。
- 経済特区(SEZ) 内の土地については、この期間を最長49年まで延長する法改正が検討されています。
📝 税制優遇と経済特区
ウズベキスタンでは、投資規模が大きく、地域経済への貢献度が高いと認められた事業に対して、税制上の優遇措置が与えられる場合があります。ただし、これらの優遇措置は自動的に適用されるものではなく、事前の申請と承認が必要です。経済特区(SEZ) に立地する場合は、さらに租税や関税の優遇を受けられる可能性が高まります。
🧳 ビザと滞在登録
- 日本人がウズベキスタンに90日以内の滞在をする場合はビザは不要ですが、入国後3営業日以内に滞在登録を完了させる必要があります。
- この滞在登録は、ホテルに宿泊する場合はホテル側が自動的に行ってくれますが、アパートなどを借りて滞在する場合には自分で手配する必要があるので、忘れないように注意が必要です。登録を怠ると、罰金や強制退去の対象となる可能性があります。
👥 現地の労働慣習
現地で従業員を雇用する場合、ウズベキスタンの労働法規を遵守する必要があります。例えば、給与の支払いは現地通貨(スム)で、かつ月に2回以上行うことが義務付けられているなど、日本とは異なる規定があるので注意が必要です。
🔁 独占禁止法の確認
大規模な合併や買収(M&A)、または一定規模以上の企業が25%以上の株式を取得するような場合には、独占禁止当局との事前合意が必要となる可能性があります。該当する可能性がある取引を計画している場合は、早い段階から専門家に相談することをお勧めします。
✅ 実施前のチェックリスト
ウズベキスタン進出を成功させるには、入念な準備が欠かせません。
- 事前調査の徹底: 取引予定のある現地企業の信用調査や、自社の知的財産権の登録を進出前に行い、リスクを軽減しましょう。
- 専門家の活用: 現地の法律や税制、許認可手続きは複雑な場合が多いです。現地の法律家やコンサルタント、JETRO(日本貿易振興機構)などの支援機関から助言を得ることで、スムーズな進出を実現できます。
- 文化・習慣の理解: ウズベキスタンは親日感情が比較的強く、人々は親しみやすい傾向があります。しかし、時間や約束の感覚、仕事へのアプローチなど、細かい部分で日本と異なる文化や習慣もあります。現地の文化を尊重し、柔軟に対応する姿勢が長期成功の鍵となります。
💎 まとめ
ウズベキスタンは中央アジアで比較的安定した国であり、IT人材の育成に力を入れ、再生可能エネルギー分野などで外国投資を積極的に誘致するなど、ビジネス環境の整備に積極的です。しかし、土地所有の制限や許認可の必要性、独特の労働法規など、進出に際しては注意すべき点も確かに存在します。
最も重要なのは、現地の正確で最新の情報を入手し、必要に応じて専門家のサポートを得ながら計画を進めることです。ウズベキスタンへの投資は、これらの注意点を適切に管理できれば、大きな機会となる可能性を秘めています。
(注) 為替レートや法律は変更されることがあります。実際の投資の前には、必ず最新の情報を専門家などでご確認ください。



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