7. 税制の基本:税法典
M&A取引の構造や実行可能性を決定づける最も重要な要素の一つである、税金に関する基本法です。資産譲渡や株式譲渡における課税関係、優遇措置などが規定されています。
- リンク: https://lex.uz/act/6457130 (第II部 法人税に関する部分)
- 原文(抜粋):Налоговый кодекс Республики Узбекистан. Раздел II. Налог на прибыль юридических лиц. Глава 8. Налогооблагаемый доход.
Статья 153. Доход от реализации имущества.
Доходом от реализации имущества признается… выручка от реализации… основных средств… нематериальных активов… ценных бумаг… - 翻訳:ウズベキスタン共和国税法典。 第II部 法人所得税。 第8章 課税対象所得。
第153条 資産譲渡による所得
資産譲渡による所得とは… 固定資産、無形資産、有価証券の譲渡による収益をいう。 - 内容とM&Aへの関連性:
- 株式譲渡: 売り手は譲渡対価と株式の取得価額の差額に対して法人所得税(現在の基本税率は15%)が課されます。
- 資産譲渡: 売却した資産の譲渡益に対し法人所得税が課されます。また、付加価値税(VAT)が課される場合があります。
- 繰越欠損: 買収後も引き継ぐことができるかどうかは、特定の条件によります。
- 優遇措置: 大規模な投資プロジェクトや特定地域への投資に対して、免税期間などの優遇措置が適用される可能性があります。
8. 労働権利の承継:労働法典
M&Aの実行において、被買収企業の従業員の権利と雇用契約を如何に引き継ぐかを規定する重要法です。
- リンク: https://lex.uz/act/6343229
- 原文(抜粋):Трудовой кодекс Республики Узбекистан. Раздел II. Трудовой договор. Глава 10. Изменение трудового договора.
Статья 99. Изменение существенных условий труда.
…В случае изменения подведомственности организации… трудовые отношения продолжаются… - 翻訳:ウズベキスタン共和国労働法典。 第II部 労働契約。 第10章 労働契約の変更。
第99条 労働条件の本質的変更
…組織の帰属(所有者)が変更された場合… 労働関係は継続する… - 内容とM&Aへの関連性:
- 雇用の承継: 株式譲渡の場合、雇用主である法人そのものは変わらないため、雇用契約は自動的に承継されます。資産譲渡の場合でも、引き継がれる事業に従事する従業員の雇用は新所有者に承継されることが一般的です。
- 解雇の制限: 所有者が変わったことを理由とした一方的な解雇は原則として認められておらず、既存の労働契約条件を尊重する義務があります。
- 社会基金: 従業員の社会保険料等の支払い義務も承継されます。
9. 外資系企業の現地子会社設立:外国法人支店・代表オフィス法
外国企業が現地の子会社(LLCやJSC)を設立するのではなく、支店(Branch) または代表事務所(Representative Office) を設置する場合の規制を定めています。M&Aの代替手段または準備段階として重要です。
- リンク: https://lex.uz/act/3475992
- 原文(抜粋):Положение о порядке открытия и деятельности на территории Республики Узбекистан филиалов и представительств иностранных юридических лиц.
п.4. Для открытия филиала или представительства… иностранное юридическое лицо представляет в уполномоченный государственный орган… заявление… учредительные документы… - 翻訳:外国法人のウズベキスタン共和国における支店及び代表事務所の開設及び活動に関する手順規則
4. 支店または代表事務所を開設するには… 外国法人は権限ある国家機関に… 申請書… 定款… を提出する。 - 内容とM&Aへの関連性:
- M&Aの前段階として: 現地市場の調査や関係構築のために、まず代表事務所を設立する場合があります。
- 子会社との違い: 支店は独立した法人格を持たず、外国親会社の一部です。そのため、親会社が支店の債務に対して無限責任を負います。M&Aの実行主体として使うよりも、事業運営の形態として選択されることが多いです。
- 登録義務: 司法省などの所管官庁への登録が必須です。
10. 土地権利:土地法典
M&Aの対象事業が土地を所有または賃借している場合、その権利の承継可能性を判断する上で極めて重要です。外国法人の土地所有権には制限があります。
- リンク: https://lex.uz/act/3588936
- 原文(抜粋):Земельный кодекс Республики Узбекистан. Раздел V. Возникновение земельных прав. Глава 18. Ограничения земельных прав.
Статья 175. Ограничения предоставления земельных участков в частную собственность иностранным юридическим лицам…
Иностранным юридическим лицам… земельные участки предоставляются в частную собственность только для строительства и обслуживания объектов, входящих в утвержденный Кабинетом Министров перечень… - 翻訳:ウズベキスタン共和国土地法典。 第V部 土地権利の発生。 第18章 土地権利の制限。
第175条 外国法人への土地の私有権付与の制限
外国法人への… 土地の私有権付与は、閣僚会議が承認したリストに含まれる施設の建設及び維持のためにのみ認められる。 - 内容とM&Aへの関連性:
- 外国企業の制限: 外国企業は原則として土地を所有できません。ただし、長期の賃借権(最長50年)を取得することは可能です。特定の例外(大規模投資プロジェクトなど)を除き、所有権の取得は非常に限られています。
- デューデリジェンス: M&Aのデューデリジェンス(買収監査)では、対象企業の土地の権利(所有権か賃借権か)を確認し、外国企業が買収後にその権利を承継できるかどうかを慎重に検討する必要があります。
総合的な注意点
ウズベキスタンの法制度は急速に近代化・変更されているため、これらの法律も頻繁に改正される可能性があります。また、大統領令や閣僚会議決議など、法律を補完する下位法令が詳細な手続きを定めている場合がほとんどです。
M&A取引を実際に進める際には、必ず:
- lex.uzで対象法令の最新版を確認する。
- 現地の法律事務所や専門家の助言を得て、正確な解釈と適用を確認する。



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