Santander UKとTSBは、いずれも英国で事業を展開する銀行ですが、その成り立ちや事業規模に違いがあります。2025年7月にSantander UKの親会社であるスペインのBanco Santanderが、TSBを親会社のSabadell銀行から26.5億ポンドで買収することを発表し、英国金融市場で大きな注目を集めています。
以下に、両社の概要とこの合併がもたらす影響を整理しました。
🏦 Santander UKとTSBの基本情報
| 項目 | Santander UK | TSB |
|---|---|---|
| 本社 | ロンドン | エディンバラ(スコットランド) |
| 親会社 | スペインのBanco Santanderの完全子会社 | スペインのSabadell銀行の子会社(買収対象) |
| 事業規模 | 約1,400万人の顧客基盤 | 約500万人の顧客を有する |
| 店舗網 | 約350の支店ネットワーク | 全国に218の支店 |
| 従業員数 | 約18,000人 | 約5,000人 |
| 特徴 | 英国における主要な住宅ローン・貯蓄商品の提供者の一つ | 個人・中小企業向け業務に強み |
💡 合併の戦略的意義と将来への影響
この買収は、単なる規模の拡大ではなく、Santander UKの英国市場における戦略的地位を強化することを目的としています。
- 市場地位の強化: 合併により、Santander UKは個人当座預金残高で英国第3位、住宅ローン市場で第4位の銀行となることが見込まれています。
- 相乗効果: Santanderは、最低4億ポンド(税引前)のコスト相乗効果を見込んでいます。これを実現するため、重複する支店の統合や事務部門の人員削除が行われる可能性が多くのメディアで指摘されています。
- TSBブランドの行方: SantanderはTSBブランドの存廃について、買収完了後に決定を公表するとしています。過去の買収事例(Abbey、Alliance & Leicesterなど)から推測すると、TSBブランドは段階的にSantanderに統合され、英国の街角から消える可能性があります。
🔄 その他の最新動向
この大型買収を前に、Santander UKでは経営陣の交代も発表されています。2025年10月3日、Mike Regnier CEOが、2026年第1四半期での退任を予定していることが明らかになりました。その理由として、買収後の長期間に及ぶ統合作業を一貫して率いる後任に道を譲るためと説明されています。
💎 まとめ
Santander UKは国際的な金融グループの一員としての規模と安定性を、TSBは地域に根ざした顧客基盤と親しみやすいブランドイメージを、それぞれの強みとして持っています。今回の合併は、両者の強みを組み合わせて効率性を追求する一方で、顧客にとっては慣れ親しんだ銀行の風景が変わる可能性を示しています。



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